標準的なアルマイトと硬質アルマイトの違い
酸化皮膜の硬度や耐久性を高めるためたものを硬質アルマイト処理と言い、摺動部など耐摩耗性が要求される部品などに多く使用されています。こちらでは大阪や関西エリアでアルマイト加工を手がける東信工業が、この硬質アルマイト処理について、標準的なアルマイト処理との比較により解説します。
硬質アルマイトとは?
自動車のエンジン部品のように摺動するものでは、滑り特性や摩耗しにくい特性が求められます。こうした要求を満たすために施されるのが硬質アルマイト処理。通常のアルマイト処理で得られる酸化皮膜よりもアルミニウム素地に厚い層を形成するため製品の強度が増し、しかも耐久性も向上します。具体的には通常のアルマイトで酸化皮膜が10ミクロンの厚さがあるのに対し、硬質アルマイトでは50ミクロンにもなります。
標準アルマイトと硬質アルマイトの違い
以下では標準的なアルマイトと硬質アルマイトの違いをわかりやすくするため、比較表を掲載します。
標準アルマイト | 硬質アルマイト | |
プロセス | 硫酸浴中で処理する最も一般的なプロセス | 低温の電解槽中で処理することで、厚く硬い皮膜を生成 |
色合い | 染色を施さなければ通常は白色を呈する | 一般的にはグレーを呈するものの、用いるアルミ素材と膜厚によって見え方に差が生じる |
硬度 | 200HV前後 鉄より軟らかい |
400HV以上 非熱処理の鉄と比較すると硬質アルマイトのほうが硬い |
膜厚 | 一般的に5~25ミクロン。使用条件などを勘案して指定 | 耐摩粍性、電気絶縁性を発揮させるには20~70ミクロンの範囲で指定 |
寸法調整 | 膜厚の1/2寸法をプラス | 膜厚の1/2寸法をプラス |
主用途 | 建材、工業製品、家庭用品、各種装飾品 | シャフト・ロールなど摺動部品、航空機関連部品 |
硬質アルマイトに適した素材
硬質アルマイト処理にはこれに適した素材とそうでない素材があります。一般的に用いられているのはA5000系と呼ばれるアルミニウム合金、次いでA6000系です。なお、アルミダイカスト製品などはA5000系、A6000系と比較すると加工特性で劣るため、理想的な処理が難しいとされています。